■04.12.13.






   それは、いつもは出張がちな父も めずらしく一緒に家族揃っての夕食の席でのことだった。





   メニューはナベ。






   ナベというのは本当にスバラシイ料理だ。

   キムチナベ、鶏ナベ、魚ナベ、豆乳ナベ…どれも甲乙付け難い。



   …ナベはおいしい。


   本当においしい がしかしナベの良さは何と言っても






   それを囲む人々の心を結びつけるチカラである。







   …ナベを囲むことで生まれる、一種くつろいだ空気と安心感。


   …同じナベをつつくことで、たとえそれが家族以外の人間でも


   生まれる前から家族だったんじゃないかという気がしてくる。






   よほどのことが無ければ、絶対においしい楽しいヘルシー且つ経済的な ナベ。

   〜それは人類の考え出したものの中で最もスバラシイものの一つ。










  必ずおいしく 楽しく 健康的で しかも安い ものなど、この世に一体いくつあるだろうか?…










   …というわけで、春の家は冬だけでなく 夏だろーが 暑かろーが


   「春の 誕生日記念ナベ!(5月末)」

   「さー(春の妹)の 誕生日記念ナベ!(6月末)」

   「夏休みスタート記念 ナベ!(7月末)」

   「久々に家族全員そろった記念 ナベ!(随時)」




   何かがめでたければ イキナリもぅナベをやってるわけなんですが、(仲良しでしょ?)







   ナベはこの際どうでも良い。




   つまりこのような暖かい雰囲気の中で


   付けていたテレビの中に育毛剤のCMが流れたときのこと。


   そしてどの会社の育毛剤だったか忘れたが このCMを見た父が

   「へ〜、松岡修○って育毛剤のCMなんか出てるのか。フサフサなのにね。」

   と発言。



   …度重なる主張での時差ボケが、思いのほか響いていたらしい。



   「こんなにフサフサになりますよーってことだよ(笑)」

   「他のCMもけっこう黒々な人出てるよ(笑)」




   心の中で適当な返しを探すが、う〜んどれもイマイチ。

   普段から一家の家長を立派に務める父は、なにを隠そう根っからの九州男児。

   あんまり当たり前のツッコミを入れても、なんだか父を傷つけるだけのような気がする。





   そもそもツッコミなのにカッコわらい(笑)が付くのもいかがなものか…。




   みなさんも、こんな時ありませんか?

   急いでツッコミを考えなきゃいけないけど、微妙すぎてカラミづらい局面。

   一体どうすれば…。





   しかし考える間にも時間は流れていく。

   妹や祖母も、特にフォローを入れようという様子は無い。

   まあいいや、 ここはあえて流すか…?






   …と、ここで母が口を開いた。






   「ふ〜。」



   おお!何か考えつきましたか!

   さすがは母!やっぱり父には母ですよね!!



   高まる期待…




   もはや画面は次のCMに移り、当の父は


   実はもう育毛剤のことなんて半分忘れかけていましたが




   母の口から発せられた言葉は、

   そんな父を一気に現実に引き戻すことになったのでした。


   これがその氷のようなツッコミ↓









   「だって育毛剤のCMをハゲがやっても、

   
説得力無いでしょ?」














   …ママー(TдT)





   分かってたけど…


   分かってたけど…!





















   それチョットキツーイ(TдT)






















   ざわめく食卓。



   …だって 父を傷つけないように と思えばこそ、よいツッコミを思いつけないでいたわけで。


   そして思いつかないんなら、、流すなら流すで別に誰も困らないんだから、無理につっこむことも無いんです。



   確かに父は別にハゲじゃないし血筋から言って多分将来的にもハゲないけど だからと言ってまさか



   父の代わりにハゲを傷つける作戦で来るとは

  思いもよらなんだ…










   「か、母さん…。」


   学生時代から慣れ親しんでいるとはいえ、20年以上も全く衰えを見せない毒舌っぷりに


   今度は父がさすがに当惑。













   …周りのオイシイリアクションに満足し、さらにトドメのひとことを放つ母上。








                                 
                                 
                                 






   「別にハゲキライじゃないわよ。」








   …じ、自分の夫がハゲそうにないからって…



   春が将来、ハゲる旦那様と一緒になったら、彼をどうやって守ったらいいんでしょうか(泣)。






     もどる




Copyright(C) 2004.11.05.-2005 HARU all right Reserved. Sorry, this website is Written in Japanese.